弟子屈ラーメン 物語
昔物語
人の歴史は味の歴史でもある
弟子屈は道東では最古の温泉地。
だから、多くの旅人たちに流行の食べ物を出していた。
弟子屈に育った人の記憶に美味しいラーメンとの出合いがあった事は確かだ。
昭和9年頃の弟子屈
弟子屈のどの家庭も薪ストーブしかなかった頃、豚も数頭が農家で飼われる程度だったから盆と正月しか肉を食べる事は出来なかった。
貴重な脂肪分を豚骨からも絞り出し、やがてラーメンとして形になったのは戦後のことだと言われている。
醤油誕生の秘密
味の基本は長時間仕込みのスープ
極めつけは、摩周湖の清流を使っている事
ラーメンとは脂の旨味が味の決め手になると言って良いが、火力が弱い薪ストーブでは長時間煮込むしかなかったのである。
弟子屈ラーメンはこのラーメンを復元させた。低温で安全に長時間煮込みために、電気のコンロを使用し、忠実に伝承の技法を再現している。
豚骨は多くのラーメン店にとって、最も基本的な素材だ。
ここ、弟子屈ラーメンはその平均的な骨の量の3倍以上使う。そして20時間以上の仕込みで澄んだスープでありながら、しっかりとした旨味を引き出すための伝承の技法を守っている。
この旨味をさらに引き出しているのが、摩周湖の豊かな伏流水だ。
店舗近くで自噴する摩周湖の伏流水
魚介の旨味の特製タレを弟子屈スープに
魚ダシをギュッと閉じ込めた、特製醤油ラーメン
素材に出会い、それを地域の味にする。
基本は醤油味だが地域食材の「旨味」を限りなく加算したのがこの「魚介しぼり醤油」。「古く固くなった豆は薪ストーブでこそ柔らかく煮上がる」。薪ストーブを使っていたように、低温で長時間かけて煮出すという仕込み方で、豚骨の旨みを引き出します。
澄んでいながら独特のコクと深みのあるスープは北海道産の豚骨を平均的な店の3倍、量と時間をかけてコラーゲン質が多く含む脂分の旨みを引き出しています。この基本を守るスープに合わせ完成させるのが、香りの醤油、コクの味噌で多くの支持を受けてきました。
私たちはラーメンの変わってはいけないもの、しかし変わらなければならないものを日夜、模索しています。今回、ご推薦したいのが「魚介しぼり醤油」。弟子屈ラーメンで修行する職人たちは「しょうゆ使いの匠」を目指して研究しています。そこから、まったく新たな発想で魚介を加えた醤油タレを完成させ、品書きを加えたのが2005年のことです。これを食べた人の口コミから、多くの人の支持を新たに得ることができました。
魚介しぼり醤油